耳を澄ますとき

だれかとの時間、こころに染み入る ことばの記録

独り立つ者どうしが、ただともに在るということ。

 

どうやら風邪っぽい。

のどに違和感、味覚もおかしくなってきている。

頭がぼんやりして身体の節々にかすかな痛みも出てきた。

 

強烈な体験のあと、わたしの身体は大抵こんなふうに熱をおびる。

それでも今回は、これまでとは比較しようもないほど、激しい恋に身を投じたときのような深いところでの感情・体感のうねりを味わい尽くした日々だった。

 

 

 

きのうまで京都の日本海側、天橋立のある宮津市に10日間滞在していた。

着いたとたんにけっこうな降雪に見舞われ、白銀の迷宮に迷い込んだ気分になったけれど、そこは目まぐるしく天候が変わる土地。帰るころにはすっかり雪は溶け、晴れ間に眺めた海と空は、この美しさ。

 

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10日間にわたる円坐(いわゆる非構成的エンカウンターグループ)は2回目で、けっこう迷ったすえの参加だった。仕事の進行を調整する必要があったし、なにより18名の年齢もさまざまな男女が、朝から晩まで円になって座り、おのずと起こり展開していく語りの空間に身をおきつづける。とても興味深くはあるのだけれど、なかなかにヘビーな場でもあるから。

 

本気で人とかかわり合おうとする時に浮き彫りになる、自分の正体。その姿から今、自分がどんな信念から生きていて、どんなことから逃げようとし、どんな内なる願いを抱いているのかが、誤摩化しようのない強烈さで、つどった人たちの前で明らかになっていく。

 

わたしたちは圧倒的に独りでありながら、圧倒的に他者を求め、濃密な関わりあいのなかで自分と相手のことを体感として知っていく。最初からパーフェクトなかかわり、ふれあいなんてできっこない。その都度、心に傷みが生じることもある。けれど、相手との間にもし喜びが生まれるとしたら、今できうる限りの繊細さと勇気をもって相手に手探りでも近づいていくことからはじめるしかない。

 

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天橋立に滞在していた間に降り積もった雪がゆっくり溶けて無くなったように、わたしたちの内側でも、これまで何とか生き抜くために力んで積み上げてきたものが溶けて、その下に芽生えていた、これからの人生にとってかけがえのないものの存在にふれることができた気がする。

 

そのフェーズへは、とうてい独りでは辿り着けなかった。大切に思える人たちとの真剣なかかわりがあったから、傷を舐め合うのでもなく、ケアしあうのでもなく、独りで立つ者どうしが、ただ一緒に在り道(未知)をきり拓いていく....という最高に面白い人生の可能性を確認できたのだと思う。

 

今回のグループを通して、わたしは最後の最後に、あらゆる責任を引き受けて独りで生きて死んでいくと無意識に決めていたことが明らかになって愕然とした。それに気づいた瞬間、自分の言葉に押しつぶされそうになった。けれど、ある人からの「あなたは、あきらめていないと感じる」という言葉を辿ったとき、ようやく息がつけた。

 

わたしは、あきらめてなんかいなかった。

人と深くつながり、ともに歩いていくことを。

 

そんな自分との“出会いなおし”ができたこと。そのきっかけをくれた人たちとの出会いを深められたこと。彼らとの一瞬、一瞬が、愛しい宝物のように思える。

 

10日間、ありがとうございました。